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今やっと気付けた、そのことを無駄にしてはいけない。

うちの猫の病気の話です。



本当ならとっくに死んでしまっていてもおかしくない、うちの猫。
病名は調べていないし、知ったところでどうにかなる保証は無いのでそこは放置している。
白血病にしろ猫AIDSにしろ、今のところ対症療法しか策は無いのだから仕方ないとも言える。

一か月。
それがステロイドの有効期間。
それを打たなければ口内炎による口の痛みで御飯も食べられなくなる。
要は無理矢理に寿命を延ばしているといっても過言ではない状況。
これをもう2年以上も続けている。
対症療法を、これからも続けていく他はない。
そうしなければ彼は近いうちに死んでしまうのだから。

だけど、本当のところ、僕はそのことを全く分かっていなかった。

今日、にゃん太の様子がどうにもおかしかった。
陥没呼吸(肋骨のあたりをへこませる)のような、肩で息をするような苦しそうな呼吸。
瞳孔は開き気味で、明らかに憔悴していた。
病院に連れて行くと、先生は少し驚いていた。
何故ならステロイドを打ったのがつい最近だったからだ。
にゃん太の様子を見ると先生は先ず体温を計り、「少し体温が低いね」と言った。
そもそも、この病院でこの子の体温を計られたのは初めてだ。
その後、聴診器で呼吸音、心音を確かめて「肺に水が溜まっていますね」といい、不整脈があったのかエコーの準備をして、ジェルつけた先端をにゃん太の胸に擦り付ける。
その間、にゃん太の体は弛緩してまったく抵抗を示す様子も無く、彼の調子が確実に、そしてかなり悪いということが分かった。
とりあえず強心剤と気管拡張剤、利尿剤を打ってもらい、家に帰って様子を見ることになった。
「本当なら入院して酸素マスクをつけたいところだけど、それをすることによる負担で彼の調子が悪くなってしまうので、家で安静にしていてください」
と言われて。

実際、家に帰ったところで僕に出来ることなんか彼を傍で見ているくらいのことだった。
利尿剤を打ってあるので、トイレはいつでも使えるように綺麗にした。
階段の昇降は抱っこをして、彼の心臓に負担をかけないようにした。
結局は彼の体力が症状に打ち克つのをただ待っているだけだった。
鳴かず、動かず、苦しそうに、彼はじっと腹ばいになっていた。
ただ、息が苦しいからだろう、段差のあるところに上体を預けて、時々少し体勢を変えるくらいだった。
僕はただそれを見ていることしか出来なかった。
彼は苦しくても僕を追いかけて移動してしまうので、彼の嫌いなクーラーはかけずに、彼の居たい所に僕もいる、ということにしていた。
母は「お前がいると安心するみたいだから」と言ってくれたが、実際のところ、苦しいはずのにゃん太を目の前にして、僕の心は折れかかっていた。
見ているだけなのに、何度も涙が零れた。
そんな自分に何度も呆れながら、彼の傍にいた。
汗も涙もよくもまぁと思うほどに出て来たが、苦しいとは思わなかったし、お腹も空かなかった。
「彼が死んでしまうかもしれない」ということに、支配されていた。

幸いにして、薬の効果もあったのか彼の体調は3時間ほどで落ち着いた。
ほっとしたと同時に、今までの自分にいかに「彼の死」に対する覚悟が無かったのか思い知らされた。
本当なら、とっくに死んでいてもおかしくない状態だというにも関わらず。
平和に安穏に、ただただ心穏やかに浸りきっていただけだった。
確かに彼の体の状態はかなり良くコントロール出来ているが、それがいつまでも続くことはないと頭のどこかでは分かっていながら。
覚悟を、しないといけない。
「それ」がいつ来るかは分からないけれど、病気を持っている子を家族とした時点で本来なら考えておくべきことだったけれど。
今やっと気付けた、そのことを無駄にしてはいけない。
だからこそ、悲しみに暮れている時間はもう終わりにしないといけない。

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by unfairy-tale | 2008-08-02 23:02 | | Comments(5)
Commented by yuki_ten at 2008-08-02 23:27
何も言えませんが、読ませていただきました。

私に言えるのはそれだけです。すみません。
Commented by 梅垣。 at 2008-08-03 03:06 x
うちのふじ子は対症療法?しなかったなぁ。
たしか白血病だったんだけどね。

うん。
Commented by fubuki-a at 2008-08-03 14:27
すごいな、と思います。
失う覚悟なんて私には最後まで出来ませんでしたよ。
うん、それだけなんですけどね……。
Commented by clampon-cla at 2008-08-03 20:17
これは、猫好きとしてはかなりつらいお話……
いつも彼らが私たちを元気づけてくれるのだから、彼らが辛いときは、私たちも彼らを助けてあげなければならないんだな、と実感しました。
いつもよその猫を撫でているだけの者ですが、改めて彼らの弱さ、辛さを感じたように思います。
少しでも長く一緒にいられることを祈っています。
Commented by unfairy-tale at 2008-08-07 11:07
>あいるーさん
読んでもらうものというよりも、ただの自己満足で書いただけなので気にしないで下さいな。

>たくちゃん
まぁ…猫にそこまで医療費かけるうちもそう多くは無いだろうしね…。

>吹雪さん
僕は、4、5歳の時からずっと動物を飼ってきているから、たぶん、慣れているだけなんですよ。
ハムスターは特に短命ですから。(苦笑)
…失った時の悲しみは、いつでも変わらず重くて、慣れることは出来ないみたいですけれどね。

>クララさん
僕が助けられたのはこの子だけ。
他の子まで助けられるわけじゃない。
でも、それを精一杯やって、この子はきちんと幸せにしないといけないと思っています。
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